経営者と各部門長の説明の整合性
十分な成長力があると判断したクオリティグロース銘柄で運用する日本株ファンドや、分配重視の商品設計に合わせてグロース銘柄の組み入れを抑えたグローバル株ファンドなど、担当しているファンドによって異なる。運用資産総額は合計で5000億.6000億円程度になる。
株主への利益還元水準を示すROE(自己資本利益率)が改善する可能性の高い企業だ。経営陣との面談でも、ROEの足元の水準ではなく今後どう引き上げていくのか、その企業努力のプロセスを確認する。

株式運用部
上席運用部長(グローバル株式)
三国公靖氏
目標達成までのタイムホライズンも重要だ。3年かけて引き上げるのか、5年かけて改善させるのか。ROE改善戦略と時間軸を聞き、同業他社との差別化などと合わせて実現性をチェックする。
ガバナンスが整備されている企業は、経営者と各部門長の役割分担が明確だ。海外展開について経営者が全て説明する必要はない。経営者は海外戦略の重要性を語り、米国や欧州など各市場の事業プランはそれぞれの担当役員が説明するといった具合だ。
IR担当を含めたそれぞれの説明の整合性が取れている企業は、経営者の意思が全社に浸透しており、事業戦略の実現性が高いといえるだろう。我々も準備してきた質問は誰に聞けば具体的な答えが得られるか分かるので、面談がスムーズに進む。
年間200社以上の統合報告書を読んでいる。特にCEOメッセージと社外取締役のページは重視している。
取締役は株主の代表であり、経営陣ら執行役を監視するのが役割だ。例えば、取締役同士が対談して執行役をフォローするような記事を見かけると、監視機能が働いているか疑問に感じる。また株主の代表である以上、保有株式数を公表して、自身の立場を社内外に明確に示すべきだろう。
投資家などの株主が最も興味があるのは「株価」である。統合報告書は投資家向けに発行しているのだから、株価動向に関する分析記事は巻頭で多くのページを割くなど、もっと目立たせてはどうか。
目指すべき企業像が明確か
ある製薬メーカーのエンゲージメント対応は大変興味深い。面談で「どういう会社になりたいか」と聞くと「世界で唯一の感染症を治せる会社になる」、「同業他社で尊敬する会社あるか」との問いには安定していて利益率が高い海外企業の具体的な社名が返ってくる。
このように目指すべき会社像が明確な企業とは、これからも成長戦略やROE改善などについて対話を重ねていきたい。
ROEの引き上げ努力を、英語で、社外から内容チェックできる透明性が高いロジックに基づき説明することが大事だ。
特にない。先述した製薬メーカーのように、トピックの有無に関わらず資本市場を向いたIRを実践している企業はリスペクトしている。