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Feature 特集
著名ファンドマネージャーへの7つの質問 ── あなたが投資したい企業とは?

日本はミクロ改革による価値創出の投資対象として再評価されるべき

「スタイル非依存」アプローチ

Q1 ── ご自身の運用スタイルは。

意図的にスタイル非依存で、スタイルサイクルのタイミングを図ることもしない。代わりに、長年にわたり注視してきた企業のミスプライシングを見極めることに注力する。投資後は反証データに基づきポジションを機動的に調整するとともに、対話を通じて付加価値を提供する長期オーナーを志向。

Q2 ── どのような企業に投資先として魅力を感じるか。

不完全・誤ったコンセンサスで株価が歪み、市場より当社が精緻にリスク評価できる論点や盲点を持つ企業を選好する。収益改善に再評価や還元、財務最適化が重なる局面で、構造的に利益が高まる日本企業に注目している。経営は実務的に評価し、低レバレッジと資本規律を重視するとともに、会計の質低下や脆弱な事業モデル、変化への抵抗、ノイズ過多な企業は回避する。

M&Gインベストメンツ
アジア太平洋株式運用部門、共同ヘッド

カール・ヴァイン
Q3 ── IR開示やコミュニケーションで企業に期待することは。

日本企業のIR水準は大きく向上しており、全体として高い評価に値する。IRは事業モデル、顧客への価値提案、業界構造、業績を左右する財務・ユニットエコノミクスを投資家が理解できるようにし、合理的なリスク評価の基盤を提供すべきである。一方で、戦略と資本配分の関係や、リターン・リスクの源泉を率直に説明する点には、なお改善の余地がある。コアメッセージの一貫性は重要だが、環境変化に応じて前提を更新する柔軟さも信頼性を高める。情熱や勝利への意欲、顧客重視、価値提案と価格決定力への深い理解は信頼を生むが、過度に宣伝的で約束過多なIRは逆に信頼を損なう。

Q4 ── 統合報告書のどこを見るか。

統合報告書はすべて読む。長期的な思考を明確に示す経営陣の議論はとりわけ価値が高く、長期にわたり追跡できる戦略的な参照点を提供している。

独立社外取締役による関与の高まりもみられる。幅広い株主利益の代理人として機能する非業務執行取締役から、より多くの洞察が示されることは歓迎する。

独立社外取締役の権限の強化を

Q5 ── 企業IRで印象的な取り組みは。

SCREENホールディングスのIRコミュニケーションは、価値提案や、顧客ニーズの変化に応じた戦略進化を分かりやすく伝える点で進展が見られる。長期的な業界トレンドに重点を置くことにより、同社が顧客および株主の双方にとって持続的な競争優位をどこに構築しようとしているのかが理解しやすくなっている。加えて、日本企業全体でアクティブ投資家との対話を自発的に深め、事業内容を丁寧に説明する動きが広がっており、企業と株主の長期的な利害一致向上に資している。

Q6 ── 日本企業に対する海外投資家の関心が高まる条件とは。
 

海外投資家の資金動向予測は難しいが、ファンダメンタルズ面では日本企業は魅力的である。デフレ制約の緩和、低レバレッジのバランスシート、資本政策改革やM&Aの進展、割高でない株価、通貨の魅力、良好な利益成長が背景にある。日本は世界成長へのレバレッジではなく、ミクロ改革による価値創出の投資対象として再評価されるべきだ。

Q7 ── 国内外の注目トピックを。

取締役会の構成と実効性は、世界的に重要性を増しているテーマだ。独立社外取締役の権限強化や、指名委員会委員長による、より果断なリーダーシップは、長期的な意思決定を真に改善する取締役会を構築するうえで重要となる。ESG開示は形式的なものではなく、実際の資本配分や競争力、長期リターンへの影響を説明すべきだ。