
複数の投資家による協働エンゲージメントで企業と長期投資家の相互理解を促す
代表理事 理事長
木村祐基氏
代表理事 事務局長
山崎直実氏
理事
鎌田博光氏
約2500社にレター送付 約120社と議論を重ねる
一般社団法人機関投資家協働対話フォーラムは、2017年日本版スチュワードシップコードが「協働対話(集団的エンゲージメント)も有益」と改訂されたことに合わせ、2017年10月に設立された。機関投資家と企業との「協働対話(協働エンゲージメント)」を支援することを目指している。
2025年10月末現在、日本株に幅広く投資する運用会社など7社が参加。事務局がファシリテートし、長期的な企業価値向上を目指す機関投資家による協働対話を実施している。協働対話は次の3ステップで実施している。
1.参加機関投資家の協議により、アジェンダ(対話の議題)設定と共通見解の取りまとめ
2.共通見解のレター送付
3.ミーティング(協働対話)の実施
「2024年までの7年間で約2500社にレターを送付し、オンラインを含むミーティング実施は約120社だ。レター送付から企業側との事前調整を経てミーティングを実施するまで2年かかったケースもある。レターには投資家の共通見解の背景を盛り込み、企業に『気づき』を促している。レターを読むだけで理解できるように心がけており、全ての送付先にミーティングを要望しているわけではない」(機関投資家協働対話フォーラム代表理事理事長の木村祐基氏)
今後は社外取締役が経営に果たす役割も重要テーマに
ミーティングに応じる企業側のメリットとしては、複数の機関投資家と事前に送られたレターの内容に基づき効率的かつ深い対話ができることが挙げられる。
「コーポレートガバナンス・コード対応、サステナビリティ、資本コストや株価を意識した経営など特定アジェンダの深い議論により投資家との相互理解が進む。今後は社外取締役が経営に果たす役割も重要テーマになるとみている」(機関投資家協働対話フォーラム理事の鎌田博光氏)。協働対話が終了した一部の事案は対話事例としてフォーラムのホームページで内容を公開している。
運用会社による企業とのエンゲージメントと聞くと、自分が担当するファンドのパフォーマンス向上を目指すアクティブ運用のファンドマネージャーの取り組みというイメージがある。機関投資家協働対話フォーラム代表理事事務局長の山崎直実氏は、日本版スチュワードシップコードではパッシブ運用も積極的に対話に取り組むべきと指摘していると前置きした上で、こう説明する。
「パッシブ運用など日本株を幅広く保有する運用機関のエンゲージメントの目的はインデックス全体の底上げであり、必然的に日本企業全体の共通的なテーマが中心となる。我々が個々の運用会社という枠を超えて、中長期的な企業価値の向上を促す『目的を持った対話』を展開することで、日本企業全体の持続的成長に繋がると考える」
参加機関投資家(2025年10月末現在)
企業価値評価の項目
- ①収益力はあるか[資本収益性]
価値創造の源泉・ビジネスモデル・収益構造、資本コストを上回る資本収益性 - ②成長性に確信が持てるか[成長性]
成長機会、成長戦略、必要な経営資本と資源配分、ポートフォリオマネジメント - ③リスクマネジメントは適切か[資本コスト]
事業運営上・戦略遂行上のリスク(サステナビリティ)、適切なリスク管理 - ④資本市場に対する姿勢、ガバナンス、企業風土・文化、経営トップのコミットメントはどうか
[資本コスト]