AIなら統合報告書要約は「1分」
今後5年程度先まで見据えた成長テーマ分析を通じて、伸びる市場での勝ち組や独り勝ちする企業を効率的に発掘する。最終的にファンドマネージャーである自ら調査を実施して投資判断する。年間の企業訪問数は700社程度だ。2026年2月末時点の運用資産残高は約2000億円にのぼる。
持続的に成長する仕組みが構築されている企業だ。ファンドの組入銘柄の選定プロセスでは、「成長戦略の経営の質」、「事業ポートフォリオの質」、「収益性とコストマネジメント力」の3つの切り口でチェックする。

運用部
リサーチアクティブグループ ヘッド
チーフファンドマネージャー
上村孝広氏
当社は統合報告書の分析において、社内で開発した生成AI(人工知能)を活用して要約し、その後詳細を確認する流れを取っている。要約版の作成は、かつては丸1日かかったが、今は1分で完了する。企業IR側も生成AIが読み込みやすいようにテキスト重視の記事構成にするなど、投資家側の手法の変化を意識して制作いただけるとありがたい。
そのほか、小型株には、決算説明資料の開示が遅い企業が少なくない。決算発表後の数日間の株価変動に資料の中身の分析が間に合わず、投資機会を逸してしまう。一般的な大型株の企業のように、決算発表と同じ日に説明資料を開示するなどタイムラグを可能な限り短縮化してほしい。
取締役や執行役員のスキルマトリックスはチェックする。
例えばアシックスでは、取締役は企業経営、国際性、デジタル、財務・会計、法律、スポーツ事業の、一方で執行役員はプロダクト、マーケティング・販売、デジタル、財務・会計、法律、人材開発の、それぞれスキルをもった人材を配置している。次期経営トップ候補など将来を牽引する人材グループの取締役のスキルマトリックスに「国際性」がある点から、同社は今後も海外戦略に注力していく狙いとその実現性の高さがうかがえる。
生成AI導入の定量評価の開示を
2016年に投資を行い、その後株価が10倍以上になった中小型株がある。源流企業は江戸時代創業という同社は決算説明会を開催していなかったため、成長企業であるにもかかわらず、株価は割安に放置されていた。
我々は四半期ごとに実施していた個別面談を通じて、決算説明会の開催と社長の同席を提案。4.5年前から決算説明会を開催し、証券会社のカバレッジが増えたので、株価が正当に評価されるようになった。
海外投資家は経営トップの言葉のニュアンスから成長戦略への“本気度”を測る。面談は英語でやり取りしたほうが、企業側の真意が伝わるだろう。経営トップが年齢などの理由で英語での情報発信が難しい場合は、事業戦略を理解している役員クラスが通訳すべきだ。特にIR担当者は、英語は必須スキルだ。
決算説明会では、生成AIを活用した定量的な効果に関する質疑応答が増えている。AI導入によって業務効率がどの程度向上したか、利益をどのくらい押し上げたかなどを数値で表してほしいというニーズは、投資家を中心に今後さらに強まるだろう。